こんにちは!
株式会社ONEflatの中村です。
2026年5月10日(日)に一日限定レストラン「APOLLO」を開催しました。
病気や障害のある方が外出のきっかけをつくるために3年前にスタートしたこのイベント。
今回は合計50名以上の方にお越しいただき「3年ぶりに外出できた」という声もいただく忘れられない1日となりました。
本日はAPOLLOの開催レポートをお届けします。
この記事の内容
株式会社ONEflatは、西宮市を中心に訪問看護・デイサービス・福祉用具貸与販売の各事業を展開しています。
日々の支援を続けるなかで、ある思いが生まれてきました。
病気や障害があっても「食事を楽しむ」「外に出る」という体験を諦めてほしくない。
職種の枠を超えて、利用者の方の「ワクワク」を一緒につくりたい。
その思いから生まれたのが、一日限定レストラン「APOLLO」です。
APOLLOの特徴は、当日の会場スタッフを医師・看護師・言語聴覚士が担当している点です。
医療従事者がそばにいることで、嚥下障害や持病のある方でも安心して参加できる環境を整えました。

APOLLOでは毎回テーマを変え、世界の料理をコース形式で提供しています。
・第1回:イタリアン
・第2回:和食
第3回目となる今回は「中華料理」をテーマにしました。
テーブルクロスや置物など会場の装飾も中華をイメージしてこだわり、食事の時間から非日常の雰囲気をお楽しみいただけるよう演出しました。



当日のメニューはこちらです。
前菜 シェフおすすめ前菜4種盛り(春雨サラダ・中華くらげ・にら玉・焼売)
メイン 甘酢香るさっぱり 油淋鶏・コク深い旨辛 麻婆豆腐・プリプリ食感が際⽴つ エビのチリソース
ご飯もの 香ばしく仕上げた本格炒飯
スープ 磯の香り豊かなわかめスープ
デザート 杏仁豆腐
食後 ウーロン茶 または ジャスミンティー
食事は約2時間のコース料理を10時〜、13時〜、16時〜の3部制で開催しました。

スタッフで会場設営

受付の様子

司会進行もスタッフが担当
今回は3名のゲストスピーカーをお招きしました。
外出をきっかけに人生が変わったという話を聞いたとき、「自分にもできるかもしれない」「こうすればいいんだ」というヒントをもらえることがあります。
専門家の言葉ではなく、同じ当事者やその家族として生きてきた方のリアルな声だからこそ心に届くものがあります。
そのような考えから、今回はそれぞれの経験を持つ3名の方にお話しいただきました。

第1部のゲストスピーカーは、脊髄損傷による車椅子ユーザーの中村珍晴さん。
テーマは「幸せのドア」でした。
受傷後に自宅に引きこもっていた時期があったという中村さん。
その経験を率直に語りながら「心のバリア」をどう乗り越え、外へ踏み出すことができたのかを話してくださいました。
第2部のゲストスピーカーは、ALSと向き合うK.H.さんを支えるご家族さんです。
ALSの家族を支えるという立場から、前回のAPOLLOへの参加をきっかけに外出へ積極的にチャレンジするようになったという経験を語っていただきました。
「APOLLOに来て、また外に出てみようと思えた」という言葉が、このイベントを続ける意味をあらためて教えてくれました。
また第2部では油彩画家・古賀陽子さんによる絵画の贈呈式を行いました。
古賀さんは、映画『ゴッホ〜最期の手紙〜』に日本人として唯一参加した画家です。
今回は、ALSと向き合いながら日々を生きるK.H.さんのご家族を描いた作品を制作してくださいました。
当日は西宮市議会議員の重久大学先生もお越しくださり、この取り組みへの温かいご支援をいただきました。

左から古賀陽子さん、重久大学西宮市議会議員、木下一平弊社代表取締役


第3部のゲストスピーカーは、ALSを患いながら指揮者としての活動を続ける岸本竜太郎さん。
2026年5月にAIをはじめとするテクノロジーを駆使しながら、家族と仲間とともにオーストラリアへの海外旅行を実現したというチャレンジを語っていただきました。
スピーチの最後に岸本さんが口にしたのは、奥様とお子さんへの感謝の言葉でした。
病気と向き合いながらも挑戦を続けられるのは、「そばで支え続けてくれる家族がいるから」というメッセージが印象的でした。
食事やスピーチに加えて「外に出るきっかけ」をテーマにさまざまなコンテンツを用意しました。
外出のきっかけをテーマに共同制作した漫画作品を配布しました。
来場者の方々が手にとって見入ってくださっていました。
西宮市内のバリアフリーなお出かけスポットをまとめたマップ「MACHI KARTE(マチカルテ)を作成・配布しました。
「ここ行ってみようと思います」と持ち帰ってくださった方が多くいらっしゃいました。

実際の利用者さんの日常に密着した動画を上映しました。
「こんな生き方があるんだ」という声が会場のあちこちから聞こえてきました。
上映した密着動画
1日を通じて、参加者の皆さんから、さまざまな感想をいただきました。
なかでも心に残ったのが、「3年ぶりに外出できた」という一言です。
「今日は本当に来てよかったです。こんなに楽しい気持ちになったのは久しぶりでした。また次回も来たいです。」
ゲストスピーカーの言葉や食事の時間、そして隣に座った方との会話など、そのすべてが重なって、「外に出てよかった」という体験が生まれたように感じます。


株式会社ONEflat 代表取締役の木下一平です。
APOLLOは今回で第3回目を迎えました。
回を重ねるごとに、この場所が持つ意味をより深く感じるようになっています。
食事を楽しんでいただいている姿はもちろん「この場所に来るためにリハビリや治療を頑張ってきた」という声を聞いたとき、改めて開催してよかったと思いました。
APOLLOはゴールではありません。
ここで感じたワクワクが、次の一歩を踏み出すきっかけになってくれたら嬉しいです。
これからも訪問看護・デイサービス・福祉用具対応といった医療のインフラを整えながら、外出のきっかけをつくるイベントを続けていきます。
そして、物理のバリア・制度のバリア・心のバリア・情報のバリアという4つのバリアを解消し「ちがいをつなぐまちづくり」を実現するために、さまざまな取り組みを重ねていきます。
ご来場いただいたすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。

最初は緊張した表情だった利用者さんたちが、時間が経つにつれて表情がほぐれていく様子が印象的でした。
そして会場を後にされる頃には、みなさん笑顔になっていました。
病気や障害があると「どうせできない」「私には無理だ」という気持ちが先に出てしまいがちです。
でも今回のAPOLLOを通じて、心のバリアは、何かひとつのきっかけがあれば解消できるということを感じました。
誰かの話を聞いたこと、美味しいご飯を食べたこと、隣の人と笑ったこと、そんな小さな体験が「次も外に出てみようかな」という気持ちにつながっていくのだと思います。
APOLLOを通じて、誰かが踏み出した一歩が次の誰かの一歩を生む。そんな輪が、これからもっと広がっていってほしいです。
次回もみなさんの笑顔に会えることを楽しみにしています。
レポート:中村珍晴(株式会社ONEflat)